2.《ネタバレ》 現実と芝居(四谷怪談)とがリンクして、ドロドロな感じになっていく話。
似たような最近の映画で『嗤う伊右衛門』と『怪談』がある。この2本は、正統派Jホラー映画であるが、『喰』は、渋い正統派Jホラーを劇中劇として扱い、現代の現実の劇団たちが演じる四谷怪談っていうメタ構造で描いている。おかげで、純粋な四谷怪談を観たくなった。
ようは、現実世界が邪魔。いらない。せっかく優秀な役者がそろっているんだから、正真正銘の四谷怪談をやったほうが絶対良かったと思う。
現実世界のドラマが非常に軽い。えびぞうと柴咲が付き合っていて、共演者のかわいい女の子とえびぞうがイイ感じになってるもんだから、柴咲が嫉妬してえびぞうを事故で殺すっていうだけの話。四谷怪談のお岩さんの苦悩と、現実柴咲の嫉妬心が全く釣り合っていない。
ビニールシートの質感が良かった。部屋全体を覆うビニールシート、やがて稽古場のデスクまでおおわれていく。そして最後、えびぞうのしゃれこうべを包むビニール袋。そうか、映画中盤以降、ビニール袋の中のえびぞうの頭部からの視点だったということか。はい。