1.《ネタバレ》 一つのジャンルとも呼べそうなフレームワークで、何ら想定を裏切らない。演奏会終了と共に万雷の拍手で、杏の晴れやかな笑顔がクロースアップされて
ハッピーエンディングへと至るだろう流れも律儀なまでにパターン通りだ。
彼女の成長のドラマ、メンバーの団結と上達のドラマでバリエーションと独自性を作っていくわけだが、
ここも杏と笹野高史の関係に絞ってシンプルに徹している。
上達の過程は本来、練習シーンのモンタージュと反復によるべきところを季節変化と街の情景の早送りだけに頼っているのはかなり安直な印象だ。
コメディタッチに合わせて芦澤明子のカメラも明朗、杏の表情のクロースアップが頻繁過ぎるが、彼女のほどよくコミカルで豊かな表情と口跡の良さで
苦にはならない。下手な女優ならこれ見よがしのわざとらしい変顔を連発して白けさせられるところだが。