6.《ネタバレ》 将棋素人の私が村山聖という人物を何となく知っていたのは、羽生の効果だろう超有名・大人気だったもんな。
村山は少女漫画が好きで、爪や髪を切らない。少女漫画の主人公のようなサラサラヘアになりたかったのかな?
上京の時、女子向きマンションを選ぶけど、似合わないと言われムッとする。内面は女性的で繊細なのかもしれない。
羽生と村山の食堂のエピソード。店主の反応がまさに私のような一般人のそれだろう。
この食堂は竜王戦の会場から歩いていける距離にあるから、将棋関係者もよく来ると思う。
“よしのや”。牛丼の前フリもあるから、村山は前日、適当に店の名前で選んでたんだな。
全然趣味の話が合わない二人。会話が積んだとき、食堂のおばちゃんのお尻をぼんやり見てから結婚の話に流れるくだりはとても上手いな。
畠田理恵との結婚が話題になった羽生に、その話ではなく『結婚して死ぬまでに一度で良いから女を抱いてみたい。』と自分の本音を話す村山。
お金はあるんだろうが、風俗とかでなく大好きな少女漫画のような恋愛をしたかったんだろう。そしてゴールは結婚。
古本屋の店員さんとのエピソード。金はあるだろう彼が、ちょくちょく古本屋に通った理由。残念ながらもう一歩先には進めなかった奥手の村山。
いや現実はもっと、それ以前の関係でしか無かったかもしれない。
手術を拒んで(ゴネて?)いたのも、彼の気持ちを表していたように思う。
将棋は出来ても男性機能は失う怖さ。結婚したいから手術は嫌だって言えない繊細さ。
食堂で本音を話す村山に「あなたに負けて死ぬほど悔しい」と本音で応える羽生。…羽生さんこんな事、人に言うんだな。
手術を受け、結婚・女を抱く事を諦める。二つの夢の一つ、彼の青春への思いを捨て、爪と髪を切り、名人を目指す決心。
羽生との対局。破れてからの最後の5局。どれほど凄かったことだろうか。
丁寧に作られた映画だから、対局の優劣が将棋盤を見て分かる人と、当時の棋士に明るい人なら、より楽しめる映画だと思う。