1.《ネタバレ》 久しぶりに気持ちのいいシネスコで。画面の情報量の多さこそを貴ぶ向きもありますが、幅広画面の1~2割程度しか使ってない、その情報量の少ないカットの美しさにうっとり。そして、それだけの映画だったかな・・・
この監督の作品はあと『ドライヴ』しか見てなかったりしますが、センス良さげだけど、どうも中身は既存のモノのコラージュに終始しているような感じがして、新しいモノを見せて貰ってるって感じが薄いんですよね。
鏡が頻出する要素になっていて、その向こう側とこちら側とを超えてゆく者と超えられない者とが描かれて。鏡を割る女、鏡に落書きをする女、それは鏡の中に自分を置く事が出来ない、出来なくなった、超えられない女。
壁や扉も隔てた世界を象徴して、でもそれってワリとよくある表現ですよね。
女のエゴと男のエゴが単純化され記号化されて並べられている状態は単細胞的。冒頭の映像から容易に想像される結末、白い無垢な背景の世界から映画が進むに従って血で汚されてゆくさま、ナイフが示すシンボル、もう1つ1つが「はいはい、そうですね」って。
エル・ファニングは美しい、けれどそれを期待して見にいくと激しく鬱になる事でしょう。っていうかディズニープリンセスを演じた人にはもう少し仕事を選んで欲しいところですわねぇ。とりあえず『ドライヴ』同様、グロに耐性が無い人は無理な映画です。
あと、キアヌ・リーヴスはただ出てるだけ、みたいな。別に誰でもいいような役。
「これまでに見た事が無いような映像が綺麗でミステリアスでステキな作品」なんて言っちゃうとダリオ・アルジェントとデ・パルマとデヴィッド・リンチとキューブリックが全力で殴りかかってくるような映画、そんなところで。