1.《ネタバレ》 窓の外を白く飛ばし、逆光のポジションに立つファスベンダー。自らが陰となって順光を愛する相手に注ぐ構図、という趣旨か。
特に後半の劇はこのスタイルを多用して光の主題を語っている。
兎に角圧倒されるのは、島を吹き荒れる強風の音であり、波の寄せ返しの画だ。ヒロインが産気づく夜の嵐の音響が彼女の動揺と不安感を次第に
かきたてていく辺り、巧妙に出来ている。
勾配が特徴的な島のロケーションであり、その傾斜を画面によく活かしているが、そこを登る・降りるの運動は少々貧弱だ。
ラストで港へと必死に駆けるだろうアリシア・ヴィキャンデルの走りもまるで物足らない。
芸達者な俳優らの表情芝居とその極端なクロースアップに頼り過ぎてしまったのではないか。