1.《ネタバレ》 TV放送されたので鑑賞。漫画の実写映画化は当作品だけに限りませんが、かつて私は原作漫画をタイムリーに(連載の途中までですが…)読んでいたので、観てみました。因みにアニメ版は観たことはありません。
今回の映画版を観て意外だったのは【照橋さん】のエピソードが物語の軸になっていたことです。何故なら【照橋さん】は、チヤホヤされ続けた女性に“あり得るかもしれない”ダークな内面(ちょっと極端すぎますが…)を戯画化したキャラクター。そのため「生身の女優さんが演じると、観客からは、役柄を越えて女優さん自体への反感へとつながり、女優のキャリアにとってマイナスになりはしないか。そうしたリスクを踏まえ、【照橋さん】のエピソードは周辺的なものに留まるのでは…」と予想していたからです。
その意味で、橋本環奈さんは、変顔を一生懸命につくりながら三枚目風で大袈裟に【照橋さん】を熱演?しており、上記のリスクを回避できた…のかもしれません。もっとも、↓の【あばれて万歳さん】もおっしゃっていますが、彼女のような“ハスキーボイス”は、外国と違い日本では“可愛い”の要素から外れているようなので、三枚目的な脚色をするにはちょうど良いキャスティングだったのかも…。
なお、私が漫画で好きだったキャラクターは、見た目は怖いが『実は、欲深なところが無く純真。友達や母親思いで、動物にも優しい』という【燃堂くん】であり、心温まるエピソード(大抵の場合、ギャグもセットでしたけど…)が漫画にはたくさんありました。打算の塊のような【照橋さん】とは対照的なキャラクターで、個人的には漫画の長期連載を支えていた魅力の一要素になっていると思ってきました。新井浩文さん扮する【燃堂くん】は、外観に加え、飄々とした雰囲気は、漫画を上手に再現していたと思います。ただ、上述の心優しい面が(映画の脚本で)削ぎ落とされていたのが、ちょっと寂しかったです。
さて、採点ですが…【モノローグ主体】という漫画と同じ構成は、映画のような長丁場でずっと聞き続けると疲れてしまうかもしれませんが、TV放送だとCMが休憩タイムとなり観やすくなっていたと思います。その意味でTV放送向きの作品かもしれません。そこで「TVでの鑑賞を前提に、ごく軽い気持ちで観るぶんには、可もなく不可もなし」の5点とさせていただきます。ただ、もし【燃堂くん】を軸にした人情物語にしていたら、もう少し点数が高かったかもしれませんが…。パート2があるなら(多分、無いでしょうけど…)、是非【燃堂編】を!
*平成30(2018)年10月15日(月) 追記 : 【あばれて万歳】さんが、私の拙文を読んでくださっていたとわかり恐れ多いです…。もし、私もアニメ版を観ていたら【照橋さん】及びこの映画の印象も違っていたかもしれませんね。詳しい返信(説明)文を追記していただき、ありがとうございました。説明文を拝読すると、上述の私の【引用】による解釈はピント外れだったようです…。いっそ修正しようかと思いましたが、今後、他のレビュアーさんが読んでくださったときに、追記との関連性がわかりやすいかな…と思い直し、恥ずかしいですが、そのままにしておきます…。