2.《ネタバレ》 やっぱりゾンビ映画。
2の時点で分かってた事ではあるんだけど、3では更にゾンビ濃度が高まってるんですよね。
それも、ただ単に「ゾンビ好きに媚びる為にゾンビを出しました」って訳でもなく、その要素を劇中で活かし「主人公の親友ニュートがゾンビ化してしまい、殺してくれと訴えてくる」って展開になるんだから、お見事です。
物語としては本作が一番盛り上がるし、最終章に相応しい内容だったと思います。
冒頭から「走行中の列車を襲撃し、仲間を救出しようとする主人公達」って見せ場が用意されているのも、嬉しい限り。
他にも「高所からプールにダイブ」とか「バスをクレーンで釣り上げる」とか、要所要所で見せ場があるし、作り手の誠意を感じます。
これに関しては、単純に観ていて面白いっていうよりは(あぁ、ちゃんと観客を楽しませようとしてるんだな……)と思えてきて、安心させられるって類の長所ですね。
「そんなのは、娯楽映画として当たり前の事だ」って考える人もいるでしょうけど、それが出来ていない映画だって沢山ある訳だし、自分としては評価したいです。
そんな訳で、1→2→3と順当に成長してきた、シリーズ最高傑作と称えたい気持ちもあるんですが……
素直に褒めきれない部分も多かったりして、そこは残念。
まず、上述のニュートに関しても、3単体では「主人公の相棒であり、大切な親友」として描かれてるけど、1と2では全然そんな事は無くて「仲間その1」でしかなかった訳だから、ちょっと唐突なんですよね。
3で急に仲良くなったような形ではなく、1から親友として描いていたら、その劇的な死も更に盛り上がったはずなので、実に惜しい。
これに関しては「1のチャックに比べたら、3のニュートの方が退場のさせ方は上手くなってる」と褒める事も出来そうだし、判断が難しいです。
あとは「実は生きていたギャリー」って展開で、これはもう、申し訳無いけど失敗してると思います。
そりゃあギャリーのファンなら嬉しいかも知れないけど、どう考えても「死んだと思ってたキャラが、実は生きていた」というサプライズ展開やりたかっただけって感じであり、必然性も無いし、ギャリーという存在を活かしきれてもいないんですよね。
宿敵だった主人公のトーマスにも「頑張れ」と声かけたりして、いつのまにか普通に信頼出来る仲間みたいになってるし、劇的な和解イベントも無し。
ギャリーを串刺しにした張本人のミンホに対しても「誰にでも間違いはある」で済ませちゃうんだから、大いに拍子抜け。
これならギャリーではなく、本作から登場した新キャラって事にしても、充分成立したと思います。
他にも「ヒロインのテレサまで、ニュートのおまけみたいに死んじゃうのが可哀想」とか「結局、世界がウイルスから救われたかどうかも分からない」っていう曖昧さとか、欠点を論えばキリが無いんだけど……
「友達でいてくれて、ありがとう」という最後のニュートの手紙は、中々グッと来るものがあったし、三部作を完走して良かったと、そう思えましたね。
またトーマスやニュート達に会いたくなったら、1から3まで観返したくなる。
なんだかんだで愛着が湧いちゃう、憎めない友達のような映画でした。