1.シチュエーションは面白いんですが、アイデアが見つかったから映画化しただけのようでそれ以上の試行錯誤の過程が見えてこないです。なんだろう、頭の中で考えられた人物の機能や役割が描かれていてもその人間性までは十分に描かれていないという印象が残ります。伊東蒼なんかまさにそうで不幸な少女だという説明描写が終わったら劇的なシーンを作るためにさっさと退場させられてしまいます。テーマを描くためのリアルな描写が不快感を催させているのではなく、観客に不快感を持たせる人物を登場させること自体が目的と化してはいないでしょうか。漁師やスーパーの店長やパートの中年女性、責任逃れしようとする学校や悪質な報道をするマスコミ、作り手が安心して見下せる立場の人間を安全圏から面白がって眺めてるだけで自分の問題として捉えているようには思えません。マスコミの描き方なんかこの映画自体が偏向報道そのものではないですか。まあそれでも古田新太と藤原季節の絡む場面は好きな方ですね、俺も昔万引きしましたなんてサラッと告白しちゃうところが良いです。終盤の人物に変化の兆しが見える展開も悪くはないのですが、安直でまるで別の映画が始まったようにも感じてしまいます。