47.《ネタバレ》 この手の戦争映画では、いつも登場人物が判別できるまで苦労する。
特にこの映画のように白人がたくさん出てきて軍隊式に髪型や服装を同じにされると、馴染みの俳優でないかぎり誰が誰だがわからなくなる。
戦闘のリアルな迫力は『バンド・オブ・ブラザース』を思わせる。
ただ、そちらは連続ドラマで人物の認識も感情移入もしやすかった。
その点、この映画では死亡者が出ても誰だかピンと来ないことがあり、その他大勢の死と変わりなくなってしまう。
平時での顔と戦闘時の顔が一致できれば、人物背景もわかってもっと思い入れができるのだが。
とはいえ、戦場の生々しさはすごい。
原作がソマリア内戦への米軍介入を描いたノンフィクションだけに、現実の戦闘の凄まじさ、混乱ぶりを見せてくれる。
市街地で孤立する米軍部隊に、アリのように群がる民兵たち。
一般市民も含めて敵意むき出しに襲い掛かってくる様が、和平の難しさを感じさせる。
米兵に銃を向けた民兵が射殺され、民兵の妻が報復しようと夫の銃を拾ってまた殺される。
憎しみの連鎖はどちらかが絶滅するまで終わらないものか。
米軍が敵地で取り残された少数の味方を救い出そうとして、それより多くの兵が死傷する。
なんだかとても非合理的なことをしているように見えるが、犠牲を払ってでも仲間を見捨てないという姿勢が一貫していた。
そういう連帯意識がないとバラバラになるからだろう。
その辺りがいかにもアメリカらしい。
仲間のために戦い続ける決意を語る兵士の言葉に、元々は何のための戦争なのかとわからなくなってくる。