17.《ネタバレ》 ~funny face~『変な顔』とか『愉快な顔』…ヘンなタイトルだ。
邦題は〜パリの恋人〜…別にパリに恋人は居ないし、フランス人と付き合う訳でもない。ヘンなタイトルだ。
雑誌編集社から始まるが、実に楽しそうな職場。「着る服に迷ってる読者がすっ裸で待っている」。
ファッション業界を目指すなら、こんな会社で働けたら最高だろうな。
小難しい言葉を吐きまくるジョー。何言ってんだかサッパリ解らない。共感主義?宗教みたいなもんかな…
パリでの浮かれっぷりを表した3人の歌とダンスが可愛くて素晴らしい。一緒に「ボンジューパァリィー!!」って歌いたくなる。
でもジョーのキャラは好きになれない。パリに連れて行ってもらって、用事そっちのけで自分のやりたい事をする。
「少しは共感しろよ」ごもっとも。
設定として2人の年齢差があり過ぎて、ジョーがディックに魅力を感じるという設定に無理があり、違和感しか感じない。書店でのキスシーンまで、恋人役は他に出てくるんだろうと思ってた。あとジョーが変身前も変身後も、綺麗な顔のオードリー・ヘップバーンにしか見えなく、着飾った後に『おぉ、あの変な顔の娘が、ここまで見違えるとは!』感が少ないんだよな。
…と言うこの見かたが、間違いなんじゃないだろうか?
これはミュージカル。そう考えると、違和感を感じたキャストも、適役として立ち上がってくる!
ディックはお爺さんでなく、ジョーよりちょっと歳上の素敵なデザイナー役。
オードリーはどこを切っても美しく見えるが、変な顔でメイクと衣装で大変身した娘の役。
『オードリーに面と向かってfunny faceって歌うくらいだから、きっと(素敵な顔)って意味もあるんだわ~』…なんて言うのは、後からの付け足し解釈で、文字通りジョーは『変な顔』なんじゃないか。かと言ってオードリーに変顔メイクは、色々とNGだったろう。
アステアの年齢やオードリーの顔への不満は、キャッツを観て『タイツを着た人間にしか見えない』と言ってるのと大差ない。アレは猫。それがミュージカル。
当時、邦題考えた人は悩んだろうな。『変な顔』じゃあお客が入らない。パリが舞台のラブロマンスだから、パリの恋人にしよう。…出した結論は安直だ。
アステアの華麗なダンスと、当時1番脂の乗っていた美しいオードリーをミックスしたミュージカルを、何度でも観られるフィルムにしよう。そう言う意図で作られた映画かもしれないね。