1.《ネタバレ》 主役の二人が十歳と九歳であったなら、微笑ましいファミリームービーだったのだろうなと思います。
それぞれの父と母が再婚する事になり、義兄弟となった幼い二人が喧嘩しながらも絆を育んでいくという形。
新しい母親が自分をどれだけ甘やかしてくれるか確かめたり、二段ベッドを作っても良いかと両親に提案したりするシーンなんて、きっと可愛らしかったでしょうね。
それを四十歳と三十九歳の中年男にやらせているというギャップが本作の面白さなのでしょうが、自分としては少々観ていてキツいものがありました。
どちらかというと、主役の二人よりも二人の両親の方に感情移入させられましたね。
この「真っ当な社会人である両親」と「社会不適合者の息子達」の二つの視線を作中に用意している辺りのバランスは、作り手の巧みさを感じます。
そんな訳で、善良な両親が離婚する事になる終盤の展開はショッキングだったし、そこから二人の息子も奮起して社会復帰を果たしてくれる流れだった事には、心底ホッとさせられましたね。
就職すれば嫌味な上司に敬語を使い、苦しい思いもしなければいけないという部分を、キチッと描いている事には感心。
その一方で「働く喜び」のようなプラス面がオミットされていたのは気になりましたが、それに関してはラストの「二人が会社を辞めて起業家として成功する」オチに繋がるのだから、仕方のないところでしょうか。
クライマックスにて、二人がコンビを組んで演奏してみせる場面にはテンションが上がりましたし、それによって周囲の人々が主人公達を認める事になる流れも、王道の魅力がありましたね。
特に好きなのは、ウィル・フェレル演じる兄と、アダム・スコット演じる実の弟が、互いに不器用なハグを交わすシーン。
今では不仲となってしまっていたけれど、幼少期には仲の良い兄弟であった事が回想シーンで描かれていただけに、笑いの中にも微かな感動を覚えたりもしました。
ただ、最後の最後で意地悪な子供達に復讐する主人公コンビに関しては「なんて大人げない……」と感じてしまい、今一つカタルシスを得る事が出来ず、残念。
それでも、両親も無事に復縁し、主人公達も再び「兄弟」に戻れたハッピーエンドという形だった事は、良かったなぁと思えました。