1.《ネタバレ》 この映画が伝えたいことは分かる。メアリーとマックスの間には、手紙のやり取りだけとはいえ、本当の意味での心の交流があった。人生とは苦く苦しい旅路である。そして、苦しい人生を生きる孤独な二人が手紙を通じて、互いに相手を癒しあう。人生の中で喜びを見出していく。二人の人生には色々なドラマが起こる。彼らの結びつきは数多くの危機にも耐えて継続し、ラストのカタルシスへと観客を導く。
しかし、私には彼らの人生を肯定することができなかった。彼らが経験する出来事は全て私の想像を超えて苦しい。自分よりも遥かに不幸せな人生を送っているに見える二人に対して、私は、同情心は湧いたものの親近感を持てなかった。そして、これは明らかに監督にとって誤算だろうと思う。申し訳なくさえ思う。この映画に感動できない人は少ないかもしれない。でも、私はあえて6点をつける。すぐ他人と自分とを比べたがる世俗にまみれた人間には響いてこない試金石のような映画だ。