5.数日前、とあるラジオ番組のポッドキャストを聞いていて、このクレイアニメ映画の存在を初めて知った。
今年はアニメ映画自体をあまり観ていなかったので、俄然興味はかき立てられ、早速レンタルした。
そのポッドキャストを聞いていなければ、この映画のパッケージを目にしたとしてもスルーし続けていたことだろう。
自分の人生にとって必要な「情報」は、色んなところに溢れていて、常にそれらを拾っていくためのアンテナを広げていかなければ、人生において大いに損をしてしまう。ということを、この素晴らしい映画を観終わって思った。
ポッドキャストでは少々重いテーマを扱った大人向けのアニメ映画ということだった。
確かに描かれる世界観は時に重苦しく、「人生」を生きるにあたっての様々な“障壁”について深く考えさせられる。
きっと子供が観ても理解出来ない部分は多いだろうと思う。
ただし、分からないなりにも本質的な部分で伝わるものはたぶんあるだろうし、辛辣な世界観ではあるが、ある程度の分別が付き始めた子供であるならば鑑賞し、子供なりの思いを膨らませてもいいのだろうと思った。
きっと世界中のほとんどすべての人間が、この映画の主人公たちと同じようなことで悩み苦しんでいる。
すなわち、自分自身を好きになることができないことによる行き詰まりだ。
その解決に明確な答えなどなく、手段や方向は人間の数だけ無数にあるのだろう。
世界には幸福も不幸もまんべんなくあって、自分に与えられたそれらを他者と比べて、劣等感や優越感に浸っても意味が無い。
ただただ与えられた一本道を歩んでいくしかないし、そうであれば自分自身で自分なりの“よろこび”を見つけていくしかない。
この特徴的なクレイアニメは、そういうことの大切さを辛辣さと可愛らしさを共存させた世界観の中で、雄弁に語ってくれている。
孤独の中でふいに繋がり合ったふたり。年齢と距離を越えて、長い時間の中でひっそりと支え合ったことは、決して偶然が呼んだラッキーなどではなく、ふたりの人間がそれぞれの意思によってしっかりと選びとった宝物のような絆だったのだと、愛くるしいラストシーンに涙を滲ませながら思った。