2.《ネタバレ》 歴史的な事件を題材に、国の腐敗と国民の困窮を憂いた青年将校を描いた大作。
二部構成になっており、劇場公開時には、休憩を入れたのかな?だが、その配分がアンバランスな上に、第一部の「海峡を渡る愛」という、その「愛」の部分が第一部では殆ど描かれない。サユリちゃんは苦しんでいる不幸な国民の象徴だから、大事なのは判るんだけど、ちょっとうまく物語になっていない感じ。
冒頭描写される、売られる姉を救うために脱走した初年兵の顛末と、主人公の顛末が、(自決用拳銃を渡される所まで)そっくりなのは、もちろん意図してのことだろう。腐敗した国を憂いて起った宮城大尉は、姉の境遇を見ていられなかった青年そのものであり、おそらく殆どの人が寄せたであろう、彼への同情の気持ちを、上手くその後の宮城大尉らへの気持ちにつなげている。・・・というのは後付で、ホントはこの時点で、ああ自分のこの気持は、あの初年兵と同じなんだ、と気付く仕掛けになっている。
国を思う気持ちの根っこは、大事な人への思いと同じなんだと、気付かされる映画。
あっさり言ってのけたけど、多くの批判される戦争映画の中で、これを胡散臭いイデオロギー色を排して、ちゃんとわからせる映画は、なかなか無いと思う。