4.《ネタバレ》 「こんなもんかぁ」って印象。もっとズッシリ重厚なドラマで見応えアリ、とかいう方向を期待していたのですが。
雄大な風景を捉えたダイナミックな映像はとても良いです。シネコンのハンパなサイズのスクリーンよりも昔の大劇場のような大スクリーンで見たかったな、ってくらい。
だけどドラマはどうも上滑りしているような感じがして。
謙さんの抱えた過去、殺しを重ねる事で背負った罪の自覚、それを変えた妻の存在、残された二人の子供への愛、そういったものがペラペラとしか伝わってこないんですよね。セリフで説明されはする、アイテムを提示したりもする、だけどそれが生々しい生の感覚に繋がって来ない感じがするんです。回想とか半端だからでしょうか? 回想シーンを入れるならちゃんと入れる、入れないなら一切入れない、なんか回想すべき事柄の取捨選択がイマイチ?
で、佐藤浩市は作り過ぎです。こんな人いるわけ?って。もう娯楽エンターテイメント映画用のキャラ。
柄本明にしても國村隼にしても、いつものおっちゃんのいつもの演技なんですよね。その役の背景が透けて見えて来ない。
むしろ忽那汐里、小池栄子って女優の表情の方が印象に残ったかな。
映画として色々やろうとし過ぎていたのかもしれません。様々な人の感情を大量のセリフによって盛り込む事でやたら饒舌な映画となり、騒がしい混乱劇になってしまったようで。
もっとセリフもエピソードもキャラクターも削ぎ落として謙さんのストイックさを際立たせれば良かったんじゃないかと思います。
この監督の映画、どうしてもいつも饒舌ね。「雄弁な映像」ならばいいのだけれど。