1.《ネタバレ》 少女の心の傷を優しく癒してゆくラストシーンはとても良かったと思います。が、そこまでは必ずしも褒められるものでは・・・。
『パプリカ』と『インセプション』と『ロスト・チルドレン』が混じったようなその題材のオリジナリティの無さはともかく、まず、夢が「睡眠中に見る夢」と「胸に抱く夢」とでごっちゃ。夢をコントロール可能な領域とコントロール不可な悪夢領域とが意図的に与えられていた、として「いい夢=本人の願望」っていうほぼ覚醒状態な思考パターンで構築された世界なわけで、それを大人数で空間として共有していて相互に干渉可能となると、それってもはや「夢」じゃないんじゃね?っていう。異世界ファンタジーですね。少女の悪夢から組み立てていった世界設定であろう事は容易に想像できて、そのための無理があるかなぁ。
それにそのビジュアルはいかにもオトナのアタマで創った子供の夢の世界なんですよね。
カスカベ防衛隊の団結力や活躍、ひろしとみさえのコンビネーションは好調、この辺はいつもの『クレしん』の楽しさを存分に味わえます。
バクを探しに出てからは物語の進行が停滞して、みさえとひろしは延々父親と戦ってるし、カスカベ防衛隊は迷走してるし。大和田獏ネタとか大人が見てもクドくて笑えないんですが、子供はそもそも大和田獏が判るんか?っていう。
クライマックスのボスのビジュアルはヘタなホラーより恐ろしく、よく出来てるんですが、その正体が怖すぎ。トラウマものですね。展開の結果よりも過程のインパクトがデカくてヤバいっていう。アレ、感動よりも恐怖が先行しちゃうんじゃないかと。
みさえの母性が少女を救済する展開自体は感動的なんですけどねぇ。
子供には判らないとは言いませんが、やや大人向きなんじゃない?っていうのが今年の『クレしん』の印象でした。