12.《ネタバレ》 保安官の夫を酔った黒人少年の発砲事故で失ったエドナが、二人の子供を抱えて途方に暮れる。
銀行家から借金返済に自宅売却を迫られる中、銀食器を盗んだ流れ者の黒人モーゼス、戦争で盲人になったウィルとともに家を守ろうと奮闘する姿に引き込まれていく。
銀行家の兄から厄介払いのようにエドナ宅に下宿させられたウィルが、次第に心を開いていく様子が微笑ましい。
エドナ、モーゼス、ウィルは、みんな社会的弱者だが、力を合わせて綿花栽培で窮地を切り抜けた。かと思えば、KKKにモーゼスが狙われ、追い出されるハメに。
偏見や悪意を自覚している者はなく、誰もが自分が正しいと思っての顛末で、当時の現実を突きつけられる。
この軸になるストーリーで十分なのに、なぜ本筋から外れるようなエドナの姉の不倫話を入れたのか。
この部分だけは面白くもないし、必要だとは思えない。
ラストの教会の場面では、逃亡したはずのモーゼスの姿があって「あれ?」と思ったが、続いて射殺された夫や報復で虐殺された黒人少年の姿も映されて現実ではないことがわかる。
こうあれば良かったのにという理想を提示したようで、現実との対比に余韻が残る。