1.なんじゃこのクサイお話は。お話もクサイが演技も「お芝居」であることが前面に出すぎている。冒頭の長回しも相米監督の他の作品の長回しとは趣向が違う。えらく「仕掛け」じみている。自由さがない。セットのせいだけではない。相米監督の作品はどれも独創的ではあるが、この相米らしからぬ演出が成された作品もまた別方向に独創的だ。らしくはないけどけして悪くもない。というかこんなクサイお話、ふつうに撮ってちゃただクサイだけ。「お芝居」にしちゃったほうが面白い、と思ったのかどうかは知らん。相米印、ずぶ濡れの女優は相変わらず。で、ずぶ濡れにされたときの表情はやっぱり相米の映画。演出を超えたものがある。脚本には書けないものを生み出そうとしている。女の子が女へと成長する過程を描くことに関してはここまでわかりやすいものもない。うん、相米映画だ。