8.《ネタバレ》 この前、「アバター」を観て、で、この作品を観たのだが、ジェームズ・キャメロンの考えって昔から全然変わっていないんだなと感じた。単純すぎるほどラブ&ピース。そして設定は壮大なSFで「強い女性」が登場。この分かりやすさが良いところだし、同時に彼の限界でもあるような気がする。
良いところとしては、訴えたいポイントが絞られているからそれがストレートに伝わってくるところ。バッドがリンジーを必死で蘇生させようとするシーンなどは誰が観ても感動的だと思う。一方で、どうしても話が薄っぺらでご都合主義に見えてしまうところが悪いところ。コフィ大尉はそもそも狂いすぎだし、ラストの津波シーンと宇宙人登場シーンもいたずらに壮大すぎて感動どころか逆に笑ってしまった。
監督の純粋な思いがあまりにも強すぎる。彼と同じように純粋な観客に対する訴求力は強いが、僕のような不純な人間、うがった物の見方をする人間は、観ていてちょっと小っ恥ずかしくなる。リアリティを疑いたくなる。
たとえば、この作品の世界では、ラストの宇宙人出現後、人間は本気で宇宙人を倒す方策を考え始めると僕は思う。だって、いつなんどき海底の宇宙人に津波で滅ぼされるか分からないのだ。人間は核による先制攻撃を狙うだろう。そして滅ぼされるだろう。
結局人間なんてそんなものさと嘯く僕は、彼の映画で本当の意味で「感動」はできないのかもしれない。それは寂しいことなのかもしれないが、それが正しいかもしれないじゃないか。