1.東京近郊の農村が舞台の成瀬巳喜男監督、初のカラー映画。近年話題の映画「ALWAYS 三丁目の夕日」などではまず描かないような昭和30年代の農村の生活ぶりをとても興味深く見ることが出来た。こういうのを見ると本当に昭和30年代が現代と比較していいことばかりとはかぎらないということがよく分かる。しかし、すでにみなさんが書かれているとおり、登場人物の関係が複雑すぎて、全部把握しきれなかった。よって物語にイマイチ入り込めずに終わってしまった印象だが、それでも、冒頭の雲の映像の美しさや成瀬監督らしい余韻の残るラストなど印象的な部分も多かった。そういえば黒澤作品など男を中心にした作品の印象が強い橋本忍が女性映画で知られる成瀬監督と組んでいるのは珍しい。ところで、小林桂樹の婚約者が司葉子で、加東大介や新珠三千代も出ているので見ていてなんとなく社長シリーズを思い浮かべてしまった。