2.木下恵介監督が「二十四の瞳」の次回作として手がけた恋愛映画。高峰秀子扮する未亡人と彼女を想う義弟(佐田啓二)、そして未亡人のかつての恋人(田村高廣)との関係というともすればドロドロの恋愛劇になってしまいそうなところをそうはせずに逆に味わい深く描いているのが木下監督らしい。ただ、「二十四の瞳」という名作の次回作ということもあるのか、話そのものは平凡な印象で、映画としても凡作という感じ。でも、ラストシーンはけっこう良かった。ヒロインを演じる高峰秀子は先週見た「名もなく貧しく美しく」でも素晴らしい演技を見せていたが、こういう役を演じていても見事にハマっていて、やはりものすごい名女優であると感じさせてくれる。そういう意味で本作は高峰秀子を見るための映画なのだと思う。木下監督と共に脚本としてクレジットされている松山善三と高峰秀子はこの年に結婚した。この二人はこの後、脚本家と女優としても、監督と女優としても数々の映画でコンビを組んでいくことになるのだなあ。