1.戦争末期に作られた芸道もので、幕末を舞台とした仇討ちと刀鍛冶がテーマで、幕末忠「親」蔵といったところか。題材は良いのだが、全般的に演出が冴えない。「刀の製作に身を削る」ウーン、戦時中、日本刀は武士の魂とされていたので国策なんでしょうね。刀鍛冶の執念(幻想シーン)や山田五十鈴が仇討ちするシーンなどは見所があり、もっと良い作品に仕上がる題材だと思う。年齢的に一番脂の乗った時期であろう山田五十鈴が戦争により出演作品が限られたのは残念であるし、この後、溝口作品に登場しないのも凄く残念で仕方ない。私は田中絹代より山田五十鈴とのコンビの方が好きなんです。(NFC「溝口健二特集」)