2.《ネタバレ》 ストーリーの進行と共に、徐々に明らかになる登場人物の関係。ちょっと驚いたのは、オープニングから普通に出演している男が幽霊だったこと。シャマランの某作のようにそれをオチにしている訳では無く、その幽霊が見えるか見えないかで、人の関係の深いところを探るリトマス試験紙的なキャラでした。
焦点になるのは、血の繋がらない妙齢美人の姉と主人公の関係。映画的な対人関係は愛憎が渦巻くようなものが劇作として成立させやすいけど、本作はそれを逆手に取るように淡泊に見せる。主人公の姉に対する想いを表現する描写なんてひとつも無かったと思う。榮倉奈々が指摘して、初めて「そうなの?」と思ったくらい。その微妙な距離感の姉弟はちょっとした「儀式」を経てフツーの姉弟に戻ったようで、とても繊細なお話でした。繊細すぎて眠くなるくらい(笑)。でも、実はそこにちょっと共感しました。日常生活における些細な出来事で、急に視界が開けたり、わだかまりが解消したりすることがあります。それを見せてもらった印象です。
劇中にいくつも登場する東京都内の公園は対人関係のニュートラルゾーンの象徴だと思いました。公園自体は誰に対しても平等で安全な場所。そのままでも良いのだけど、何らかの目的で利用すると存在意義が増します。対人関係も、名前を知っているレベルはニュートラルゾーン。踏み込むかどうかは本人の選択次第です。
つい先日まで住んでいた東京で、よく利用した公園が写って嬉しかったです。