4.《ネタバレ》 私が産まれる以前の作品なので、オリジナルは未見です。ウルトラマンでも仮面ライダーでもないほぼ忘れ去られていたヒーローを復活させるという企画に関心を持ったので鑑賞しました。。。
ザボーガー登場からテーマ曲までの演出は完璧。バカバカしくもカッコいいヒーローものの醍醐味をわずか数分で再現しており、鳥肌が立つほど興奮させられました。しかし、そこからはグダグダ。終始くだらないギャグでお茶を濁していて、ただの一度も映画が引き締まることがないのです。映画中盤においては、それまでΣ団を倒すことこそが正義だと信じてきた大門に迷いが生じ、そのために愛するミスボーグとザボーガーの両方を失うという劇的な展開を迎えるのですが、その場面すら真剣に描かれていないという有様。失意からもぬけの殻となっていた中年大門が、わが子との出会いによって再びガッツを取り戻すという後半部分に至っては完全にコントとなっており、この映画は演出のやり方を根本的に間違えています。。。
この映画、必要な駒は揃っています。70年代風の雑なデザインを引き継ぎながらも、適度な修正を加えてピカピカな姿で蘇ったザボーガーは充分にカッコいいし、CGと実写を組み合わせた変形シーンは驚くほどスムーズです。若き日の大門を演じた古原靖久はコメディもアクションもできて、おまけにダサイ決め台詞も様になっているという奇跡の逸材だったし、山崎真実と佐津川愛美は女優としてかなり恥ずかしい役柄ながらこれを全力で演じていて好感が持てます。大量のイベントを捻じ込みながらも終始スムーズにまとめられた脚本の質も高く、スタッフ・キャストは素晴らしい仕事を披露しています。だからこそ、根本的に方向性を間違えた演出が残念で仕方ないのです。。。
そんなことを考えながら映画を観ていたのですが、エンドクレジットで流されるオリジナル版の映像を観てビックリしました。オリジナルは本作以上にバカバカしいのです。70年代の子供向け番組なので大した作品ではないだろうとは思っていたのですが、ラストで目撃した光景はそんな予想をも遥かに下回るトンデモないものでした。リアルタイムで観ていた世代は、子供心にも「これは変だ」と感じていたはず。ならば本作のわざと外した演出もあながち間違っているとは言えず、これはオリジナルを観ていないと映画の評価はできないなと思いました。よって無難に6点。