1.一種の流行なのか、役者の表情にハンディの高速ズームを度々入れてくるようなところが映画の統一感を欠いてさもしく煩わしい。
一方で、主演する岡田将生・榮倉奈々の二人の表情を捉えるショットは二人の瞳や口元の繊細な震えと動きを的確に伝えているし、部分的にVFXも使われているのだろうが、山の稜線やビルの高層階を捉えた高所のショットの危うい感覚などは見事だ。
二人は居酒屋、観覧車、ラブホテル、浜辺で互いに向き合い言葉少なに対話を紡ぐ。
二人の声のトーン、息遣い、ナイーヴな表情とぎこちない動きが素晴らしい。
にもかかわらず気になるのは、「友情出演」でクレジットされる壇れいのための水増しシークエンス。浜辺の波音、山稜の風音に負けず劣らず盛大な「泣かせ」の劇伴音楽。頻繁すぎて停滞を招く過去のフラッシュバック、、。
『感染列島』以降のシネコン症候群は如何ともし難く、しがらみと不自由を感じさせる。