4.《ネタバレ》 ヒトラーをコメディーにしたのにはビックリ。日本なら映画、テレビ、書籍を問わず面倒になりそうなことは手を出さないのが普通。最大のタブーにチャレンジしたのはすごい。
どの道ヒトラーを全否定するしか成立しないだろうなと思っていたが、その否定の仕方に見るべきものがあった。前半のコミカルな展開がゆるくて少し飽きてきたところ、後半はピリッとブラックユーモアも効いてシリアスに。
すっかり人気者になったのに、犬を殺した映像で大衆がドン引き。ところが自伝の出版でまた人気回復。そんなに単純なものではないと思うが、簡単に扇動される大衆への皮肉だろう。
現代社会に溢れる移民問題への不満が、再びヒトラーが台頭する下地になっている。ヒトラーが招いた惨劇の再来を警告しているよう。その怖さは感じさせる。
ただ、移民の弊害が自国を脅かす状態になったら対策は必要だろう。それが暴走すると民族の抹殺につながるわけだが、コントロールされた政策なら自衛手段としてやむを得ないことに思える。やたらと排外主義だと叫んで過激に糾弾するほうに違和感を覚える。
日本も不法滞在等による外国人犯罪の増加は看過できない問題で、他人事ではない。聞こえの良い理想主義で安易に移民を受け入れて治安の悪化が深刻なヨーロッパのようにならないように願う。治安が悪化してもそれを招いた連中は誰も責任を取らないのが目に見えているので。被害者のことよりも犯罪者の人権を優先する人権派が、再犯で犠牲になった新たな被害者に何の責任も取らないのと同じように。
郷に入っては郷に従えという言葉もある。中にはそんなことなど微塵も頭にないような人達が声高に権利ばかり主張して、ともすればこちらのほうが大人しく縮こまってるように感じるのは気のせいか。不用意な移民受け入れや極端な人権保護を唱える人たちが弊害を招くことで、その反動から極端な排外主義も生まれるという面もあるような気がするんだけど。
ただ、それを揶揄するようなことを映画に入れるのは、過敏かつ過激に反応する団体もあるから難しいのかも。映画としては排外主義への警告メッセージに比重を置いてるとは思うが、手離しで賛同できないところも残った。