2.《ネタバレ》 幼少期や小学生くらいの子供を描いた映画には今までに何本も出会ってきていましたが、中学生ほどの性に目覚めたくらいの少年を描いた作品はこれが初めてのような気がします。
描き方がリアルとしか言いようがなく、親の目を盗んで騒いだり、煙草や酒に手を出したり、パンツを脱いで長さを測ったりとか、慰めることに罪悪感を感じていたりとか、いろいろなタブーに触れる快感を知った年頃の少年を上手に描いているなと思いました。
さらに、映画の序盤から垣間見られる息子と母親との親子愛の描き方がとても良く、親子間の愛情をしっかりと描きながらも、そのうち関係を持ってしまうんじゃないかという予感を感じさせないバランス感が絶妙。
終盤になると、ついにその場が訪れてしまうのですが、母親の服と下着を脱がし、いよいよという時のあの尋常でないカット割りの速さ!それまでのゆったりとしたストーリーからは考えられないほどのテンポの速いカット割りによって、母親と関係を持ってしまうというストーリー上の出来事が映画のヤマになっているだけでなく、そのように映像を工夫することによってもここがヤマなんだなとわかる映画作りのセンスに脱帽してしまいます。
また、最後の父親のクローズアップも非常に効果的で、それまでは「放任が成長を促す」とか言って、子供と距離を置き教育に無関心な態度をとっていただけに、このラストはある意味、ドンデン返しを食らった感じがして面白かったです。
このルイ・マルという人の作品は「ブラック~」と「ルシアン~」に続いて3作目なのですが、面白い撮り方をする人なんだなと思い、もっと多くの作品に触れてみたくなりました。