62.この、「産まれてから一度も船を降りたことのない天才ピアニスト」をめぐる、美しくも儚い作品のイタリア語原題が『NOVECENTO』であると知った時、ああ、やっぱり…という感慨にとらわれたものだった。それは、ベルナルド・ベルトルッチの『1900年』の原題と同じだであるからだ。 たぶん、それは決して単なる“偶然”ではないだろう… あのベルトルッチの大作は、イタリアの大地で繰り広げられた20世紀初頭から第2次世界大戦後までの激動の歴史を、壮大な《叙事詩》として謳いあげる。一方、トルナトーレによる本作は、同じく1900年から第2次世界大戦直後の‘46年までを背景としながら、世界恐慌とも、戦争とも(直接的には)まったく無縁の寓話を《叙情詩》として歌うのだ。 そこに、醜い地上の「歴史(ヒストリー)」を拒否し、あくまで美しい「物語(ストーリー)」を対置させようとするトルナトーレの作家的姿勢をぼくは見たいと思う。彼の『ニュー・シネマ・パラダイス』がそうだったように、彼は、常に“夢見る者”を肯定し、けれどその“夢”が結局は“現実”に押しつぶされるしかない儚(はかな)さを、深い哀悼とともに見送り続けるのだ。 本作における、あの、あくまで地上(=現実)を拒否して船もろとも消えていった主人公がまさにそうだったように… そんなトルナトーレの映画は、確かに甘く、美しく、“敗北”すらも甘美な「蜜の味」に変えてしまう。ただ、そういった現実逃避を、それ以上に現実を「拒否」するトルナトーレよりも、あくまで聖も俗も美も醜もいっしょくたになったこの現実こそを直視し、まるごと「肯定」するベルトルッチにこそぼくは組みしたい。 何故なら、ぼくらは「物語」ではなく「歴史」を生きざるを得ないのだから。ぼくらの生は、夢じゃなく現実の側にあるのだから。 そのことだけは、片時も忘れたくはないと思うのだ。 【やましんの巻】さん 6点(2004-07-26 16:30:27) (良:1票) |
61.ラストまでは本当に素晴らしいのですが、結末だけが残念。最後の廃船の中の問答と結末が何もかもぶち壊しに感じた。アメリカ映画なら、最後は全然違う形、細かく描かなくても希望を感じる形にできたろうに。ただこれがイタリア映画なんでしょうね。 【えんでばー】さん [映画館(字幕)] 6点(2024-03-26 19:09:38) |
60.《ネタバレ》 「僕だって夢を描いた」という言葉通り、主人公がけして世捨て人ではないのがいいですね。痛ましくて。 マックスと1900が、家庭を持ち陸で暮らす、ささやかな将来像を話していた時、彼も似たような夢を描いてたのだろう。あの会話シーンはとても良い。 ちなみに、1900がタラップから帽子を投げるシーンですが、あれは彼の賭けだった、と考えていいんですかね。 帽子が海ではなく、陸に落ちてたら、彼は意を決して船を下りていたかもしれない。 【ユビオフル】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2015-01-05 23:24:42) |
59.《ネタバレ》 この監督とはあまり相性が良くなくて、“ニューシネマパラダイス”の時もちょっと思ったんだけどなんつうか「情緒過多」に感じちゃうんですよ。ニューシネの方はノスタルジー過剰、今作は何にか分からないけど「ええ話でしょ」と一人で悦に入られてる感じ。 船内が人生の全てというピアニスト、演じたT・ロスはしっくりくる演技をしていたし、船でのエピソードは多彩で興味深かった。けど、「船を下りられない」その理由がね。「終わりが無い」とか「選べない」とか禅問答みたいなことを言い出す1900に、友人のマックスが「何言ってんだオメエ」と首に縄つけてでも船から引きずり出してくれる展開だったらすごく好きだ。なんで理解を示しちゃってるんだ。爆発してしまうよ、船?死ぬかね。死ぬんじゃないよ。小さい世界で閉じましたとさ、と聞かされても「え、なんで?」とこちらは呆然とするばかり。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2014-08-14 00:32:48) |
【K】さん [DVD(字幕)] 6点(2014-01-07 15:37:09) |
57.生まれてから一度も船を下りなかった男が、いつどうやって音楽を学びピアノが弾けるようになったのか不明だが、そこはおとぎ話として百歩譲ろう。船のタラップを半分まで降りた彼が、何を思ったのか引き返してしまうのだが、謎は謎のままして生涯を海の上で過ごしたとすればロマンティックに思える。それが何とマックスにその理由を話してしまう、それが私には言い訳(おとぎ話らしくなくなる)に感じられすっきりしない。(私にはマイナス)また音楽も悪くはないが手放しで褒めちぎるほど良いようには感じられないし・・・。まぼろしのレコード盤の曲名は映画では明かされない(名前がない)が、"Playing Love"という曲らしい。実際に演奏しているのは Gilda Buttà という女性ピアニスト。 【ESPERANZA】さん [DVD(字幕)] 6点(2012-09-22 21:11:50) |
56.トルナトーレなので、完全版じゃないとこの映画の神髄は分からないのかもしれない。ファンタジーとして自分は純粋に好き。だけどやはり映画としてはいまひとつでしょう。 【Balrog】さん [DVD(字幕)] 6点(2012-07-23 21:51:42) |
55.《ネタバレ》 原作は知らないんだけど、これって思いっきりファンタジーですよね。作中に「伝説」という言葉があるように、1900という名の男の物語は全てトランペット吹きの楽器屋での語りだけで、実際にそんな男がいたかどうかすら実は謎なんですよね。現在の世界で再会するのもこのトランペット吹きだけで、他の人は見てないし。それなのに現実感が無いという批判は的外れ。仮にこの男が語る話が作り話じゃないとしたって一人の男の回想にいちいち突っ込んだってしょうがない。1900は厳しい社会からの現実逃避から生まれたトランペット吹きのもう一人の人格だったのかもしれない。音楽を奏でることに幸せを感じた男の最も楽しい一時を送った船内の思い出への逃避。そして現実の世界を(まさに)地に足つけて生きるために1900というもう一人の自分を船と共に葬り去ったのだ。と、えらそうに言ってはいるが見た直後の感想は「別の船に乗り換えればいいじゃん」だったりする。 【R&A】さん [DVD(字幕)] 6点(2009-01-23 14:08:44) |
54.《ネタバレ》 全体的に映像が綺麗で、演出といい一流の映画でした。ピアノ対決のシーンも迫力があり、ストーリーもよくできているのに、1800の最後に取った行動は説明不足なのか現実味がありませんでした。そもそも奴隷でもないのに一生船に乗ったまま、外の世界を見ないなんてありえるのだろうか・・・と考えさせられました。 【mhiro】さん [ビデオ(吹替)] 6点(2008-09-19 15:24:12) |
53.《ネタバレ》 ピアノ対決のシーンや、コーンの船酔いを和らげるため、2人でストッパーを外したピアノを弾くシーンはとてもよかった。 ただストーリーが平坦で、とにかくやたらと長く感じてしまった作品。 結局1900は一度も船を下りることなく生涯を終えたのだろうか? きっと彼には、それが一番幸せだったのかも知れない。 コーンという、彼を良く理解してくれ、親身に心配してくれる友達ができたのが本当に良かった。 【みーち】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2008-01-13 22:50:32) |
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【ジダン】さん [ビデオ(字幕)] 6点(2007-10-27 06:59:35) |
【あるまーぬ】さん [ビデオ(字幕)] 6点(2007-07-24 21:27:41) |
50. 他の多くの人も感じているようですが……。私もラストシーンは納得ができません。ファンタジーにしては悲しすぎるような気がします。 【海牛大夫】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2007-06-01 18:29:42) |
49.《ネタバレ》 演出がオーバー過ぎるかな、それを除けば良いお話。 中盤の演奏対決が最高、しかし上述の面で少々興ざめするやも。 素人意見だが、ジャズ演奏の方が良かった。 最後の、マックスが見た1900は幻とすれば寓話としては中々。 しかし、お話を「見る」よりも、音楽に「聞き入る」が吉だと思う。 ピアニストの人生に感動して欲しい監督の意向が透けて見えた気がした。 【HIGEニズム】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2006-07-22 15:42:51) |
48.《ネタバレ》 話の筋としては面白いんだけど、1900が船を下りなかったのが結局現実から逃げているだけのように見えていやだった。一生を船の中で過ごしたピアニストというテーマに縛られすぎたような感じがする。 【ソウリ】さん [DVD(字幕)] 6点(2006-05-06 17:48:50) |
47.ピアニストがそこまで意地になって船と運命を共にするのが共感できなかったです・・・残念。 【H.S】さん [DVD(字幕)] 6点(2005-12-18 22:56:00) |
46.《ネタバレ》 一歩も船の外に出なかったピアニスト。出ようとしたけどやめたところでちょっとジーンとした。ちなみに、あんなピアノ演奏実際にできたらその時点で人間ではない。 【湘爆特攻隊長】さん [DVD(吹替)] 6点(2005-10-26 22:36:29) |
45.《ネタバレ》 「世の中が怖い。外に出るくらいなら、死んでやる」。ラストで主人公が言ったことは、要するに、こういうことです。この監督は、現実のせつなさ・やるせなさを表現することが、とても上手だと思いますが(「ニュー・シネマ・パラダイス」は、その珠玉)、この映画は、閉塞感が強すぎて、イマイチでした。主人公は、世の中を見ることなく、ただ、ひきこもっているだけなのに、世の中に絶望している。多くの人が共感できるのは、そういう人間像ではなく、自分の殻を破ろうと努力したけれども、挫折してしまった人なのではないかな。 【IKEKO】さん [DVD(字幕)] 6点(2005-05-03 22:28:43) |
44.ちょっとながったらしいかもー・・・。あと、1900のおとうさんしんじゃうの悲しすぎだから-!!だけど、純粋にいい題材の映画だよね。 でもちょっと・・・・・だるい。 【ギニュー隊長★】さん 6点(2004-12-19 18:14:19) |
【鈴都丸子】さん 6点(2004-12-12 22:19:54) |