1.《ネタバレ》 原題「モルモット」のほうがいい。クリスマスイブから新年へのバカンスで、悪天候からラストで青空がのぞく仕組み。こういう“社交”を舞台にしたドラマってのがあちらは好きね。ロープウェイの中で、それぞれの独白が呟やかれたりする。惨憺たる私生活を抱えながらも「これは楽しいバカンスでなければならぬ」という社交の精神が優先される。立派なものだ。ジャクリーン・ビセットの女の直感が怖い。些細な発見からピンと亭主の浮気に感づき、亭主が言い訳しても「そう言われればそうだわ、思い過ごしかもしれない」なんてふうには全然考えないで、パッとその直感が確信に移行している、それまでの絶対的な信頼と同じように。これが怖い。そのあとでの“社交”、みんながエロ話をしているとこで、ジャクリーンが三角関係の話を淡々と語り、場が緊張してくるところがヤマか。女は怖いけど、またすぐ自殺しようとしたりもするんで、まことに厄介な存在である、というフランス人らしい微苦笑の映画。