3.こういうコトも本当は「言わない約束」なんでしょうけど、例によって例のごとく“実験的過ぎるとかえって「前衛」にはなりえない”という感じ。ああ、はいはい、市川監督一生懸命ヤッテますね、とむしろ納得しちゃう自分がいる。どっちかというと「皆で一生懸命、長谷川一夫オジサンをヨイショしている光景」自体が、最もアヴァンギャルドを感じちゃったりして、ちょっと気が重くなる(笑)。しかしラストの鴈治郎との対決は結構盛り上がりますね。雪之丞の影は、コッポラの『ドラキュラ』あるいはカゲマンにおけるシャドーマンのように、実像と乖離し、雪之丞の恨みを代弁する、その不気味さ。一方の鴈治郎の影は、実像に背後からにじり寄り、彼が壁に追いつめられたことを強調する、その不気味さ。なかなかゾクリとするものがありました。