3.《ネタバレ》 東京は御茶ノ水「アテネ・フランセ文化センター」にて鑑賞。
相変わらず奇妙なビルディングだった。
本作は成瀬監督初の「時代劇」らしい。
そして全く成瀬作品らしくない。
だけど普通に面白い。
キャスティングにも成瀬らしさが見当たらない。
そしてストレートに娯楽作品でもあったりする。
全てが異質な成瀬作品ということになるだろう。
そういう意味でも観るべき価値のある作品だ。
しかし、長谷川一夫が良い役すぎる!
笑っちゃう程「良い人」なのだ。
田中絹代が最後に一言。
「なんて良い人なんだろう・・・」
そう、あり得ないくらいの「良い人」設定。
顔がデカイのと腕が貧弱なのがタマに傷だが、目はキリっとしているし、チャンバラは強いし、気はきくし、弓は上手いし、女性には優しいし、まさに完璧。
ここまで完璧だと、まあ、やり過ぎでしょう。
ラストの去り方も最高。
あそこまで敵方にしてあげたら、褒美を請求したり、田中絹代を口説いたりするのが人間ってものだろうが、そんな欲求は一切見せず、哀愁の後姿を見せながら一人歩き去っていく。
うーん、長谷川一夫、色んな意味で凄すぎ!