1.ふいに手にした(空から降ってきた)数百万の大金にふりまわされる大人たちの中で、ひとりその“純真”を貫こうとする少年のお話。
ファンタジーとシニカルが融合した希有な世界観に、イギリスの美しいんだけどどこか雑多な空気感がよく合う。
主人公の少年を演じた子役の可愛らしさと存在感は大きく、しっかりと作品の“顔”になっている。
少年の純粋さと敬虔さを前面に押し出した物語の構図は悪くはなかった。けれど、もう少し展開自体に“毒っ気”があった方が、もっとストーリーが締まったと思う。
随所で善行から逸脱する部分があるにはあるが、なんとなく中途半端で不十分。とっても“良い子”な主人公が目立ちすぎて、ストーリーに面白味が加わりきれていない感じがする。
結果、決して面白くないことはないんだけど、印象の薄い映画に仕上がっている気がする。
監督のダニー・ボイルはもちろん優秀で、独自の世界観は確かにあるけど、心に響くものがもう一つ足りなかった。