10.何の前触れもなくいきなり巨大フェリーが座礁して、海上保安官の主人公は当然救出作業に向かい、そこにたまたま喧嘩したばかりの恋人が乗り合わせていた。
という展開が、冒頭十数分の間に矢継ぎ早に繰り広げられ、あまりに唐突なストーリー展開と安直さに対して、脚本の稚拙さを先ず感じずにはいられなかった。
映画開始から30分程で既にクライマックスのようなシーンに突入するので、熱い台詞回しとアクションシーンの割に盛り上がることが出来なかった。
主人公の恋人(加藤あい)は早々に救出されてしまい、全体2時間弱の尺をこの後どう展開させるというのか?そういう不安に覆われながら、映画は進んでいく。
結果、どういう映画に辿り着いたかというと、やっぱり“熱い”映画だった。
「稚拙」というワードが、結局終始ちらつくことは否めない。ただし、描かれる映画世界はただただ愚直で、熱い。
何の工夫もない映画と言ってしまえばそれまでだろうが、僕は、主人公たちが馬鹿正直にひたすらに自分の職務を全うしようとする姿に熱くなるべき映画だろうと思った。
脚本的にもっと面白く、もっと感動的に出来る要素は大いにあると思うが、映画自体の方向性は決して間違ってはいないと思う。