1.なぜかこの映画では、ありとあらゆる撮影方法が駆使されている。ものすごく凝ってるなというのが第一印象。とくに町田透課長を取ったシーンはヒッチコックのめまいを髣髴とさせる凝りッぷり。木の実ナナを足から登場させたのにはびっくり。ほかにもフォーカスのずらしや、画面の構成など、サービス精神はたっぷり。もしろん、お約束の派手なアクションやギャグの応酬も健在。ただ、全体的に切れが悪い。ストーリーとかをもはや気にしていないのはいいとして、単純な勧善懲悪型のスタイルをとらず、ちょっと真面目な部分も入れちゃったことで爽快感がなくなったせいだ。自分たちの外部にはっきりとした悪を見つけれられなくなった現代では、すこしずつ感情の発散が難しくなってきている。そういった中で笑いに救いを求めるはありうる選択肢だとは思うが、さすがに笑い飛ばさなきゃいけないことがこんだけスケールでかいと、正直しんどい。映画としてみれば、もっとエンターテイメントに徹しても良かったとは思うが、ある意味、現在の世界をよく表現した映画になってるから、評価はむずかしい。