1.「宮本武蔵」の映画というと幾つか撮られているはいるけど、内田吐夢監督、中村錦之助主演のものが出来が良くて面白い。そこで、ちょっと比べてみようと思って稲垣浩監督のものを借りてきた。これって確かこの年のアカデミー外国語映画賞受賞作品だけど、う~ん?この映画が公開された1954って言えば日本映画が最も凄かった年、これよりも良いもの、面白いものは幾つもある。それなのに、何故ゆえにこれがアカデミー外国語映画賞受賞?絶対に変です。「二十四の瞳」「女の園」「七人の侍」「近松物語」「山椒大夫」という物凄い作品が公開されているのに、何故?主演の三船敏郎にしても誰が見たってこの作品の武蔵よりも「七人の侍」の菊千代の方が圧倒的に素晴らしいし、作品の完成度、面白さでも完全に「七人の侍」の圧勝!まあ、確かに三船敏郎版、宮本武蔵はけして、悪くはない。でも、中村錦之助の演じた武蔵ほどの凄さ、愛嬌も感じない。それに泣きの演技も三船敏郎には合わない。そんな中で興味深いのは中村錦之助版「宮本武蔵」の中では沢庵和尚を演じていた三國連太郎がここでも違う役で出ている。ところが、沢庵和尚に比べるとやはり見劣る。今作で沢庵和尚演じている俳優(私も三島雅夫に似ていると思った)にしても迫力不足!まあ、色々と文句はあるものの、つまらなくはない。しかし、この程度では満足出来ない。本当は5点にしたいと思うけど、お通役の八千草薫の可愛さに1点プラスしての6点!稲垣浩監督の最高傑作は絶対に「無法松の一生」です。勿論、阪妻が演じた方のですよ。