1.《ネタバレ》 設定自体はまるっきりファンタジーなのにも拘らず、筋自体が割りと現実的でファンタジーに徹しきれていないのが痛手を負っていますね。しかし純粋無垢な少女、メランコリックなボサノヴァ、ジャズ、そして美しい水といった要素にどこか合いまみえるところがあると日頃から認識していた者としてはこの取り合わせは大いにツボに入るところでした。特に終盤、浮遊感溢れるジャズナンバーをバッグに主役の二人が思うがままに綺麗な水のせせらぎに身を委ねるシーンの透明感は凄い。思うに監督はこのシーンを撮るだけに全精力を注いでしまったのではないか?そう思えてしまうほどにクライマックスに登場する水の美しさは圧巻でした。まあ正直なところ、“何か素敵な物語”を期待する向きに応えてくれるクオリティではないのでしょうが、私としてはこのシーンを見ただけでも一定の満足感と清涼感を得ることは出来ましたね。