1.《ネタバレ》 「サラリーマン忠臣蔵」の完結編。前回ラストで吉良(東野英治郎)に辞表を叩きつけた大石(森繁久彌)たち。そこからの続きとなる本作では大石を社長に新会社を設立して直後から話が始まっているが、寺岡(小林桂樹)が秘書、小野寺(加東大介)が専務になっていて、社長シリーズという感じは前回よりも今回のほうがある。前回同様に真面目に忠臣蔵をパロディー化していて基本的に軽い喜劇なのだが、同時に少しシリアスな部分もあり、やはりそれが従来の社長シリーズとの違いなのだろう。(ほかの作品あまり見ていないのだが。)クライマックスの討ち入りを株式総会に設定しているのはそうきたかという感じだが、吉良は失脚させられるだけで大石たちもお咎めを受けない(つまり誰も死なない。)元の話と違う結末(現代劇の喜劇なのであたり前といえばそうだが。)は本当に大団円という感じで気持ちのいいラストだ。今回も前回に引き続きこの手の喜劇映画には珍しいような豪華な面々が出演していて、そういう面でも楽しめるのだが、本作の翌年に東宝ではオールスター大作として本家「忠臣蔵」が作られているのは面白い。それにこの二部作で共演している森繁久彌と三船が後年テレビの忠臣蔵においてそれぞれ別作品で大石(三船)と吉良(森繁)を演じているのもまた面白い。(2018年3月30日更新)