1.《ネタバレ》 同じ中谷美紀主演の近作「嫌われ松子の一生」に技法として似ているところが結構あって、でもこちらは描き方がハンパなので明らかに見劣りしてしまっています。どうせ少女マンガ的なる世界を題材にしているのだから、もっと徹底的にやってしまえばいいのに、って思いました。リスボンと長崎のイメージとを重ねてゆく描き方なんて面白いのだから、もっと激しくクロスさせて欲しかったですし。それに、笑いのシーンを沢山散りばめてあるのですが打率2割程度、みたいな、微笑と苦笑とで殆どを占める感じ。これまたハンパ。あと、中谷美紀が冴えないジミなオンナ、ってのもなかなか納得できませんわねぇ。あのもしゃもしゃ髪のメガネ顔でも充分魅力的でないかえ?って。むしろ変身してからの方がつまんなくなって。舞台のライティングの中に立つシーンなど、アレは演劇のライティングとしてはアリなのかもしれませんが、映画じゃフラットでべたーっとして魅力的に見えませんわ。ラストのライトアップもハンパにジミだし。あと、樹里っぺがのだめとキャラ被り。でも、ひとりひとりのキャラクターに愛着を持って楽しんで見られたので、欠点は多いけれどもイイ感じの映画でした。実家の喫茶店の面々なんて、リアリティ全然ありませんが、ああいう作り物なカンジも好き。失敗したっていいじゃない、って主張は共感しちゃいます。モテない地味オンナが不釣合いな恋をするって「電車男」の逆バージョンで、スタッフも「電車男」まんまで、やっぱり電車がモチーフになってたりして、だから「電車女」ってタイトルでもいいような映画です。だけど路面電車なので「チンチン電車女」かな。ってそれじゃ勘違いしたお客さんしか見に来ませんね。