6.鑑賞前、個々のレビューは読んでいないが、レビューランキングで上位に入っていたので期待して見に行った作品。
期待が裏切られたりはしなかったけれども、特に深い感銘を得るということもなかった。
こうなるんだろうな、という予想通りに話が進んでいき、ここで泣かせるんだろうなという場面で盛り上げてくる。
そういう意味では、見る人の期待を裏切らない"優等生的な"作品といえるだろう。
しかし、優等生というのはえてしてつまらないものである。
この場合のつまらないという言葉は、刺激が無いという意味が一番合うかもしれない。
やはり、いくら役者が鬼気迫る表情で戦っていても、流血しない合戦シーンというのは、些かリアルさに欠ける気がする。
山崎監督は、映像美を重視した上で、血は描かないことにしたのかもしれない。確かに、"Always~"からも監督の映像美に対するこだわりはうかがえるし、今作にもこだわって作ったであろう、美しい風景がちりばめられている。
そういう観点から言えば、流血しない合戦シーンというのもありなのかもしれない。
あくまで私自身が物足りない、というだけであって。
主だったキャストについて述べると、草なぎ剛は役が"25才"という設定には少し無理があるように感じたが、真面目で不器用、しかし芯は強い"又兵衛"という男を上手く演じていたと思う。
新垣結衣は、姫の役として必要不可欠な透明感が携わっており、良かった。
個人的に、隠れ主人公だと思う真一役の武井証くんは、普段から敬語を使い慣れているからか、敬語が多い今作の台詞も自然に言い回していて、子役だから他の役者から浮いている、などということも無かった。
いい作品なのだが、何か物足りない…
その"何か"は、多分毒であったりクセであったりするのだろうが、普通の親子連れにはそんなものは必要無いとおもうので、作品が対象とする層にはパーフェクトな映画だと思う。
自分のように、毒やクセが無いと、何か足りないと感じてしまう少数の人(?)は、少し物足りないと感じるかもしれない。