1.《ネタバレ》 駅の場面なんか、日本の集団就職列車(「ああ上野駅」)を思い出させ、いま中国はあの昭和のころにあたるのか、と思っていると、さらに苛酷な徹夜続きの睡魔との戦いがあって、こうなると大正時代の「女工哀史」だなあ、となり、つまり急速に近代化が進むってことは、こう現代も昭和も大正も一緒くたにドッと来ちゃってるってことなんだなあ。たしかにひどい。劣悪。労働者の中国共産党が勝利した国で行なわれている搾取。この映画がその告発をしているのは確かだが、でもけっこう映画見終わった印象としては、彼女たちの明るさが残る。女子校の寮のような賑わい。寝る前のひととき、ダンスありファッションショーごっこあり。その対比が映画の面白さになっていて、彼女たちのしぶとさを応援したくなる(14歳の女の子が、これ以上給料遅配だとストすると主張するんだ)。だからこの邦題は鑑賞の方向を決めすぎてしまっていて良くない。もちろん問題なのは中国の企業だけではなく、さらにその周りで買いたたいている我々を含む国々があるわけで、異様に安すぎるセールス品を見たときは、彼女たちのことを思い出さなければならないだろう。主人公ジャスミンが出荷前のジーンズに買い手へのメッセージを忍び込ませようとしたときに思ったんだけど、あの冷凍ギョウザ事件って、劣悪な環境で働かされている工場の労働者が、さらに過激な方法で買い手に送ったメッセージだった、とも思えるんじゃないか。