3.《ネタバレ》 中谷美紀によってあっさり説明されるフィロソフィカル・ゾンビなるものの特殊効果も
得体が知れてしまえば不気味さ半減。
ゆらゆらと溶け出す都市も、具象化された首長竜のスペクタクルも
種明かしされてしまえば恐ろしさ半減。
いかにも高予算のはずの大仰なCGが、綾瀬はるかの柵越えのアクション一つに敵わない。
黒沢作品では恒例の「日常的な異世界ともいうべき」(上野昴志)車中のシーンも、夢という設定が課されている本作の場合、逆に味気なく映る。
曇天の波間に揺れる赤い旗。背後の廊下を渡る人影を暈す半透明の蚊帳。
廃墟のロケーションに漂う詩情。
そうした即物的な佇まいの画面にこそ只ならない
凄みと迫力が宿っているという転倒がある。