2.《ネタバレ》 ザ・良い話。
王道のウェルメイドで、ベタ中のベタな展開。
意外性があったのはランチョーを訪ねたら別人だったところで、それ以外は先がある程度読めてしまう。
雑魚キャラのチャトゥルが交渉する予定だった発明家ワングルの正体もすぐに察しがつく。
「きっとうまくいく」ことが約束されているような雰囲気があるので、途中で親友が死にかけたり、緊急出産の赤ちゃんが息をしてなかったり、愛する人が別の男と結婚しそうな危機があっても、それほどハラハラはしない。
それでもいいキャラクターが揃ってるので楽しめる。
行き過ぎた競争社会での理不尽さに反旗を翻すランチョーは、人としてこうありたいと思わせる理想像。
そのランチョーと同タイプだった発明に情熱を注ぐ学生が、インド映画特有の集団での楽しい歌とダンスの後に、首を吊った姿で映し出された演出はインパクトがあった。
理不尽な権威の象徴である学長、下級生いじめをする先輩たち、教科書通りに丸暗記するだけの点取り優等生チャトゥル、金にしか価値基準のない値札人間スハース。
社会の歪みを代表する俗物が、みなランチョーにギャフンと言わされるのがカタルシスとなる。
ただし、ウェルメイド作品にありがちな都合がよすぎる部分はある。
ランチョーがピアを愛しているのに放置して行方をくらませたのは不可解。
ラストでの劇的な再会を演出したかったという都合だろうけど、不自然さが引っかかる。
笑いのセンスでは、強姦を連呼しているのが気になった。
そこはおもしろくも何ともなくただ下品に感じたが、一般インド市民の感性、倫理観が日本とはまた微妙に違うのかもしれない。
インドで多発するレイプ犯罪のニュースもあって、ふとそう思った。