1.《ネタバレ》 東京の?女子高校の?合唱部員が長野県上田市の山荘に合宿に行ったところ、その場所の因縁のせいで悲惨な目にあったという映画である。ありきたりな話のようではあるがオーソドックスなのは嫌いでない。
事件の原因は、猟奇殺人者のせいではないかと疑わせたりも一応するが、実際は以前にその場所で殺された人物のせいなので心霊ホラーということになる。なぜか携帯の占いゲームで身体の特定部位を指定され、それを奪われる展開になるのでスプラッター要素も含まれている。ただしそれほど怖いものでもなく、ホラーというより登場人物の関係性をもとにした物語の印象が強い。
なお合唱部なので合唱の練習をする場面も一応あるが、出演者に特訓させるまでもなく吹替えと思われるのできれいに聞こえる。曲はコダーイの「天使と羊飼い」(Kodály Zoltán: Angyalok és pásztorok)だったようだが、それ目当てで見るほどのものではない。
主人公は部長になった気負いがある一方、部内の実力評価や無神経な教員のせいもあって親友との関係が崩れそうになっていたが、心優しい親友のおかげで最後に信頼関係を取り戻すことができていた。それ以外の部員にもそれぞれ様々な思いがあったはずなのに、今回の事件で全てが断ち切られてしまったことへの怒りが最後の行動につながったらしい(正確には死者の思いと同調したということか)。主人公の最後の言葉(エンドロールの直前)は心に染みるが、題名との関係でいえば、もう少し合唱への思いが表に出ていた方がよかったかと思う。
なお事件の元凶は、合唱部の女子生徒に次々手を出していた顧問の教員(劇中では副顧問)だったが、こういうのはよくあることだと世間に思われているからこそこういう映画が作られるのだろうから、内部の自浄作用を働かせないと外の世界の信頼を失っていくのではないか。これがこの映画の持つ社会的メッセージだったと勝手に解釈しておく。
キャストに関して、主演の広瀬アリスという人は単なる美少女かと思っていたら、この時点でもちゃんと個性的で華があっていい感じだった。その親友役の吉谷彩子という人は演技派っぽい表情がかなり目を引く。高畑充希はホラー映画はこれだけのようで、そもそも目玉が目立つ女優だが、劇中でもそこを狙われて痛々しい状態になっていた。伊藤沙莉という人はコミカルな感じで出ている。
安手の美少女ホラーのようではあるが、根が真面目そうなので少しいい点にしておく。