4.《ネタバレ》 虚無の物語。
ダイアン・クルーガーの熱演を以って、淡々とした物語を引っ張っていく。
主人公が薬物やタトゥーに手を出す、純粋な善人ではないグレーな存在だからこそ、
優柔不断からのあの決断に至ったのだろう。
たとえネオナチの若い夫婦が有罪で終身刑になろうが、自らの手で復讐しようが、
残された彼女には悲しみや苦痛が和らぐことがない。
復讐が虚しいことは分かっている。
けれど、もう心も思考も完全に擦り切れて、その後の人生も闘えなくなってしまった。
どこに希望があるの?
当事者でないと分からないけどそう思えた。
「ヘイトクライムはやめよう」と呼びかけても、
完全にキャパシティが超過して疲弊しきった現在のドイツと重なる。