9.《ネタバレ》 打ち寄せる波しぶきと岩。
これは最初のほうに出てきたので非常に気になった。
最後にも出てきたのでやはりなとは思ったが、
たぶん自分が映画全体に共感できず客観的に見てしまうのは、
心の波しぶきとか壁の絵の世界といったものを経験していないからかも。
共感こそできないがわかるような生理的なものを感じたのは、
壁からはがれる壁紙という不安感。
あの不安感や暑苦しさは普通の人でもあると思う。
けれど壁の絵のユートピアはどうなんだろうか?
ある程度人生経験をつんだ人や大きな仕事から解放された人、
そういう人が見れば内容がわからなくてもなんとなく共感できる作品かも。
箱の謎を明かさなかったことはとても悪趣味ではあるが良心的。
「セブン」のような後味の悪さで生きる映画ではないから。
内容の不思議さよりも単純ではあるがどうしても気になる謎がある。
「ハイル・ヒットラー!」グッドマンが後半に叫ぶあれは何??
時代設定が1941年ということや主人公のタートゥーロがユダヤ系ということ。
そんなことが関係しているのだろうか??
全然関係なく妄想で炎のナチ宣言をしているのか(爆)
たぶん強烈なるインパクトを残しているであろう、
グッドマン炎の登場シーン。
私はあまりここの描写は好きではない。
それまでひたひたといい演出だった反ハリウッド映画が、
これではバカにしているハリウッドアクションになってしまう。
たぶんそういうことが言いたいのかもしれない。
「エンド・オブ・デイズ」かと思った(苦笑)
あそこまでやると(なんだ妄想か)とわかってしまう・・
全体的には自分ら(コーエン)の野望とハリウッド映画界への風刺を、
満面にあふれさせたコップの水のような映画。
これをさすがだうまい!と飲み干すのは映画業界の人らか、
コーエン兄弟=映画通かも?と思われたい人ら。
私は映画通ではないから飲みほせはしないし、
その中身が水なのか何なのかわからない。