3.いきなり映画版だけを見ても意味わからんと思う、などと、この「夏目友人帳」のファンでコミック本も買い集めているウチの娘は言うのだけど、そうなるとこちらも意地になって、「これ誰?」みたいな場面が出てきても娘には質問せず、素知らぬ顔で見続ける。
ただ、見ていると、舞台になっている古い町並みの景色がいいなあ、と思えてきて、「どうせ、作品の“聖地”みたいな場所があるんやろ?」みたいなことは、娘に聞いてしまう。「確か、あったはず」という頼りない返事しか返ってこないけど(あとで調べてみたら、人吉市付近なんだとか)。
別に、作品のストーリーなり設定なりをいちいち理解するために見ている訳ではないのであって、だから、突然出てきた「これ誰?」という登場人物について、横から説明してもらったとて、それで腑に落ちるでも無し。たぶんそんな説明は、聞いてもマイナスにこそなれ、プラスにはならない気がするし、見てりゃなんとなく見当はつくもの。と思ってるのですが、どうでしょうか。
そんな事よりは背景の景色の方が、よほど気になるし、目を引きます。そもそもストーリー展開の方にさほど作品のウェイトが置かれている訳ではなく、一応、ニャンコ先生とやらが3体に分裂する大(?)事件が起きたり、ラストで意外な(?)真相が明かされたりもしますが、全体の印象としては、ゆったりした流れ。このボンヤリとした物語が、農村や古い町並みの景色と新しい市街地の景色とが入れ代わりながら語られていき、なるほど確かに引き込まれるものがあります。
ただ、アニメーションの動きの緻密さ、という点ではそれなりに物足りなくって、最近の劇場アニメのレベルの高さを思うと、ちょっと苦笑してしまいます。とは言え、私などが子どもの頃にテレビで見ていた「リミテッド過ぎるアニメーション」などとは比較にならないくらい細かい動きが描写されている訳で、あまり贅沢を言うのも、どうなのか。と思いつつ、やっぱりこの作品のこの雰囲気を支えるためには、より高いレベルのアニメーションで見たかった、と思ってしまいます。