1.《ネタバレ》 1930年製作のハリウッド版は視聴済みであるものの、本作はリメイクではなく古典の反戦小説の再映画化であり、
現代の観点で脚色されたのもあるからか、似通ったシーンがほとんどないに等しい。
せいぜい冒頭の生徒たちの出兵を煽る教師と、中盤の妻子持ちの敵兵を直接殺してしまった狼狽ぐらいだろうか。
死んだ兵の服をはぎ取り、洗濯・お直しして新兵の服として提供するところからして、
ただの部品としか見ていない戦争の非情さを良く表している。
憔悴していく主人公の青年と並行する形で軍部上層部のやり取りで見られる豪華な食事もそう。
あと少しで停戦なはずがお偉いさんの大義のために無理矢理突入させられ、
理不尽な形で消費されていく主人公を含むその他大勢の兵士たちの死…
非常にオーソドックスながらハリウッド版とは違ったドライさが突き刺さる。
確かに今の時代だからこそ見るべき映画なのかもしれないが、現代ならではの新しい切り口が欲しかった。
もし本作みたいなことが日本で起こったら、我々にできることは国外脱出するか、
国会議事堂を包囲して大規模な反戦デモを敢行することくらいだろう。