6.初見時は、全く期待していなかった分、思ったよりも楽しめた要素が多く、ゴジラ映画として及第点を出した今作だったが、久しぶりに観てみると、なかなかの“トンデモ映画”だった。
1998年公開のハリウッド版「GODZILLA」に対する批判を受けて、「これが本家だ!」と言わんばかりに製作されたらしいが、描き出される諸々のアクションシーンやスペクタクルシーンは、いずれも何らかの娯楽映画の二番煎じ感が強く、皮肉にも「ハリウッド映画の見過ぎ!」と言いたくなる。
登場人物らの台詞回しが一々あざとくて、各俳優の演技も全般的に稚拙に映ってしまう。
無駄に威圧感のある高級官僚役の阿部寛の存在感と、ラストの「ゴジラーーッl!」からの自暴自棄ぶりはなんだったのか。(ゴジラを抹殺することに信念を燃やしつつも、誰よりもゴジラに憧れていたのは彼だったということか?)
ゴジラと対峙する存在もまた「異色」である。
この映画のタイトルを“VSバージョン”にするならば、ずばり「ゴジラVS未確認飛行物体」であろう。
映画の大半において、ゴジラは謎の「円盤(UFO)」との対決を繰り広げるわけだから、これはまさにゴジラ映画史上においても稀有な「異色作」と言えるだろう。
そして、その円盤から誕生する滅法ダサくて無様な宇宙怪獣にも注目である。
と、まあ散々こき下ろしているようにも聞こえるだろうけれど、この“トンデモ映画”ぶりは、ある意味ゴジラ映画らしいとも言え、突っ込みどころ満載のほつれ具合は、良い意味でも悪い意味でも東宝特撮映画の真髄と言えよう。
到底傑作とは言えぬが、ファンにとってみればこれはこれで味わい深い。
他作品では類を見ない絶望的なラストシーンも、「個性」として光っている。