4.新選組を題材にした映画ですが、今の視点からすれば、これは「ブラック企業モノ」と呼んでもよいでしょう。近藤勇にあこがれて新選組に入隊した山崎蒸だが、いざ入ってみれば彼の理想とはかけ離れた実態。その体たらくに呆れているのはまだ序の口、気がつきゃイザコザの詰め腹切らされ、文字通りあわや切腹、という身に。しかし、本人は武士としてのヤル気マンマン、近藤新局長も何だかかばってくれるしで、「ズルズルと」池田屋騒動での大活躍になだれ込む。これは今の言い方では、ブラック企業に加担しちゃうブラック社員という奴でしょう。しかし、そう言っちゃうのは単なる「レッテル張り」、何とも味気ない。ブラック社員にも生き様があり、悲しく見送る女がいちゃったりもする訳ですな。というようなオハナシ(と言ってよいのか)を、三隅監督が鋭い演出で描いておりますが、後半、ちょっとまとまり切らなかったかな、と。