4.倦怠期を迎えた、ひと組の夫婦の心の機微を描いたドラマ。
主に原節子扮する妻側の心理描写でお話が進む展開で、
もちろん設定などに時代の違いこそ感じるが、男と女の中身だけはあまり変わらぬようで、
どこの家庭でも見られるような夫婦のちょっとしたすれ違い、心の内が丁寧に描写されている。
といっても、日本のテレビなどでよく見られる、いかにもホームドラマといったクドさはなく、
さっぱりしていて、鑑賞後の後味は爽やか。小津や向田邦子作品に通ずるような雰囲気で、
大阪や東京の古い街並もいいけど、やはりセンスのいい演出が光る映画だった。